大理から

ていうか、あれなんだね、XPって日本語使えるんだね。

まあ、そんなことはどうでもいいのですが、今、雲南省の大理というところにいます。
「大理石」の「大理」。
これからは徐々に北上し、麗江、シャングリラ、リタン、成都を経由して西安へ、それから進路を西に変えていわゆるシルクロードを通りながらタクラマカン砂漠を満喫して中央アジアへ入る予定。まだまだ先は長いです。中国を出るのもいつのことになるやら。

ところで、今僕がいる大理という町、結構面白いです。
なにが面白いって、現在の中国の観光事情の一端を垣間見れることです。
昨日は一日中国の大学生たちと行動していて、そのときに聴いたことでもあるのだけれども、現在中国では観光が盛んになりつつあるようで、それはこの旅の中でもいろんなところで感じていて、たとえば故宮なんかだと一昔前の日本の農協観光ツアーの団体客みたいのがあふれるほどいたわけだけれど、そんな活況を呈しつつある中国の観光産業の中でも雲南省は一大人気スポットだとか。「山奥深くに住む少数民族の秘境の町」みたいな。秘境でもなんでもないんですが。
そんなわけで、とにかく中国人観光客が多い。外国人旅行者なんかよりもずっと。
上海で会ったオーストラリア人は「大理はヒッピーの町」と言っていたけれど、少なくとも表面的に見る限りそんな部分はあまり見えてこない。ただ、道を歩いていて何回かおばちゃんから「はっぱ、はっぱ」と声をかけられはしたけれど。まあ、雲南省ラオス、タイ、カンボジアのいわゆる「黄金のデルタ地帯」(だっけ?)が近いし。(ちなみに、数年前に麻薬密売組織を叩こうと人民解放軍が大規模な軍事作戦をやって、それがアメリカの監視衛星に見つかって「中国と東南アジアの国の間で軍事的緊張が高まっている」なんて憶測が飛んだらしい。)でも、路上でマリファナが買えるという事実(僕は買ってませんよ)は、観光開発されてしまった場所から逃れるようにして「ヒッピー」が隠れて滞在しているか、あるいは昔は「ヒッピーの町」だった、ということを想像させるくらいで、町全体の雰囲気としてはそんなことはまったくない。
これと関連して面白いのは、大理には「洋人街」というのがあって、そこには英語が使えるバーがいっぱいあるのだけど、その店で酒を飲んでいるのは中国人観光客だけ。「外国人観光客(=ヒッピー)が集まっている」というイメージあるいは売り文句が中国人観光客を集めるんだろうね。
そんなわけで、この町はとにかく観光客が多く、それだけ観光開発されているんだけれども、僕が気になるのは中国人の中国人に対する視線。つまり、「少数民族」に対する視線。
中国は「多民族国家」なので、日本のように「単一民族神話」なんてものはまったく通用しないわけで、それはたとえば身分証明書に「民族」の欄があることからも一目瞭然。そんな中で、ネーションの意識を維持するためにどのような装置が働いているのかと考えることがあって、その大きなひとつはやっぱり中国共産党なのではないかな、なんて思う。たとえば、中国共産党結党85周年が近づいていて、その宣伝がバスの中なんかでも頻繁に流れているのを昆明でみた。毛沢東を筆頭に、歴代幹部たちの写真が名前とともに、こう、パッパッと映っていって、最後に「中国共産党結党85周年」のテロップ。バックは真っ赤な国旗。BGMにはなんか知らんが重厚な音楽。ちょっとかっこいい。そんなたとえを出さなくても、現在のこのネーション・ステートの歴史はすなわち共産党の歴史なわけで、もし突然議会制民主主義になったりしたらその「歴史」がぶつりと断絶することになって、それとともにネーションのほうも混乱をきたすのではないかしら、なんて僕は想像してしまう。いや、今の中国の一党独裁体制がいいとは決して思わない、というかかなりひどいと思うのですが。でも、今でもこの国の底で流れ続けている各民族の独立意識というのが高揚したら収拾つかないだろうな、とも思う。
話がそれました。そして、文章を書くのも面倒くさくなってきました。とにかく、大理の町なんかだと(そしてこれから行くいくつかの町でもそうでしょうが)、観光客用に民族衣装を着ている人たちがたくさんいて、そういう人たちをバチバチ写真で取る中国人観光客のエキゾチズムというのいうのは興味深いな、ということです。ちょっと前にNHKのドキュメンタリーで、カシュガルかどこかの町の子供を見た中国人観光客が「少数民族の子供はかわいいわね」とか言っているのを見て、なぜかむかむかしてしまっている自分がいたりして、それはどこから来るのかな、なんて疑問に思ったりする。そして、自分も似たようなものじゃないか、とも。

なにが言いたいのかわかりません。もう一ヶ月以上日本人と話していないので日本語がおかしくなっているのかもしれません。まあ、どうでもいいや。
今日はこんな感じで、それでは、またどこかの町から。