5月2日

騒音で目が覚めた。ぼんやりとあたりを見まわし、二段ベッドの軋みで自分は旅行中なのだと思い出す。ベッドの下ではゲストハウスのオーナーがいそいそと行ったり来たりしていた。騒音は外から。工事でもしているんだろう。
今日は5月2日。そう,日本ではゴーウデンウイーク、皆休みを満喫していることだろう。しかるに、万年休みのような長期旅行者はどうなのか? 宿を追いだされるのである。殊に韓国のように日本に近い国に滞在している旅行者は。
長期旅行者という人間は宿の予約なぞせずに移動を繰りかえしている。それに対し、短期の観光客は事前に予定を立て、宿の予約もとっている。それゆえ,ゴールデンウイークなどの理由によって宿泊希望者が宿の定員を超える場合、必然的に予約を取っていた短期の観光客が優先される。これは十分道理に適ったことなのだが、不幸なのは、というか面倒なのは、予約をとっていない長期旅行者がすでに宿に滞在している場合である。せっかく腰を落着けた宿を追いだされ、重い荷物を背負ながら新たな宿を探し出さなければならないのだから。
目が覚めた時に宿のオーナーが忙しくしていたのもそういう理由によるのであり、僕が宿を追いだされるのもそういう理由によるのである。一応これまでの宿で荷物は預かってくれると言うので、今日は韓国式の銭湯で夜を明かそうと思う。24時間営業で、いつまでいても5000ウォン(約600円)くらいらしい。なんだ、これまでよりも安いじゃん。居心地が良かったらずっといようかな。